something more precious
07
しばらくみんなで団欒していると、シュウスケがリョーマに少し緊張した面持ちで尋ねた。
「ねぇ、リョーちゃん。聞いていいかな?」
「何?」
リョーマは不思議そうな顔をシュウスケに向けて言った。
「どうしてリョーちゃんはテヅカを憎んでいるの?」
その言葉にリョーマはピシッと固まってしまった。
「あー、それ俺も気になってたんだ!ねぇ、おちび何で〜?」
「リョーマちゃん、大丈夫だよ。俺たちはテヅカの下で働いていて、テヅカの友人だけど、話して欲しくなかったら言わ
ないから。」
「そーそー、オオイシの言う通りだよ〜!」
リョーマがまわりを見渡すと、全員自分に注目していた。ハァと一つ溜息をついてから話出した。
「わかったよ。でも、テヅカ・クニミツには言わないでよ。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あの人は俺の両親の仇だからだ
よ。」
「「「「「「へっ?!?!?!?!?!?!?!?!?!」」」」」」
リョーマの言葉に全員がビックリしてマヌケな声を出してしまった。
「えっ?えっ?おちび、テヅカが親の仇ってどーゆーこと??」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「リョーちゃん・・・・・・。」
シュウスケが下を向いていたリョーマに声をかけると、リョーマは顔を上げて話した。その瞳には怒りの炎が灯ってい
た。
「4年前、俺が12歳の時に俺の両親は亡くなったんだ。原因は馬車の事故による事故死だったんだけど、その現場に
は事故に繋がるようなものはなにもなかったんだ。だから、俺は不信に思って色々調べたんだ。でも、中々見つから
なくて、悩んでいた時に手紙がきたんだ。」
「手紙?」
シュウスケの言葉にリョーマは頷いた。
「その内容は『お前に両親を殺したのはテヅカ・クニミツだ。』って書いてあったんだ。」
「「「「「「「何?!?!?!」」」」」」」
「おちびーそれ絶対怪しいってー。」
「信じたの?」
「ううん。俺も怪しいと思ったよ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それに、あの人はそんなことしないって思っ
てたし・・・。」
「えっ?おちび何か言った?」
最後の方は声が小さかったので聞き取れなかったようだ。
「・・・別に・・・。それで、怪しいと思ったから俺テヅカ・クニミツのことを調べたり、色々聞いたりしたんだ。そしたら、そ
の日、テヅカ・クニミツは視察の為城(ココ)にいなかったことがわかった。あと、一緒の馬車に乗っててずっと意識不
明の重体だった家臣がいてその事件の一ヵ月後に目を覚ましたから話を聞いたら、馬車は事故なんて起こしてなか
ったんだ。誰かに襲われたらしい。その襲った人物のまわりにいた人物が『クニミツ様』『テヅカ様』と呼んでいたらし
い。」
「イヌイ、それ本当?4年前にエチゼン国の王と王妃が亡くなった辺りにテヅカが視察に出てたって。」
「ああ、本当だ。その時はヤマブキ国を視察していたな。しかし、ヤマブキ国とエチゼン国はまったく反対の方向だ。」
「えっ?それってどういう・・・・・。」
バタ―――――ン!!!
「お忙しい中失礼いたします!!ご無礼をお許しください!!!!一大事でございます!!!!!!」
シュウスケの質問にイヌイが答え、オオイシが疑問を投げかけた時に急にドアが開き、1人の兵士が入ってきた。
「何事だ?」
ドアに1番近いところにいたカイドウが兵士に尋ねた。
「至急皇帝陛下と皇后陛下のいらっしゃる広間へ!!!ヒョウテイ国が攻め入ってきました!!!!!」
「「「「「「何!!!!!!」」」」」」
そして、シュウスケとリョーマ以外の全員がダッシュで広間へと向かった。
「ヒョウテイ国が!!」>オオイシ
「いつか来るんじゃないかと思ってたよ。」>イヌイ
「にゃにゃにゃにゃにゃ〜!!!」>エイジ
「エイジさん!何言ってるかわかんないっす!!」>モモシロ
「しゃべってねぇで黙って走れ!!」>カイドウ
「うるせぇ!!マムシ!!!」>モモシロ
「ふしゅ〜!!!!」>カオル
「ほら2人とも喧嘩しないで。」>カワムラ
6人の声が聞こえなくなったのを見計らってシュウスケはリョーマに言った。
「リョーちゃん。リョーちゃんはここにいて。」
「なんで?俺も行く!!」
「リョーちゃんはリョーちゃんが例え嫌がっててもこの国の次期皇后候補なんだよ。そんな姫を危険に合わせるわけに
はいかない。」
「やだ!!朝にも言ったじゃん!俺は自分の身は自分で守れるって!!大丈夫だって。」
「でも・・・。」
渋るシュウスケにリョーマは強行突破とばかりに広間へと走って行った。
「リョーちゃん!!もう、仕方ないなぁ。」
そしてシュウスケもリョーマの後を追って、広間へと向かうのだった。
「皇帝陛下!!皇后陛下!!ご無事ですか?!?!?!?!」
オオイシが広間へ着き、皇帝と皇后の姿を探すと2人は1番奥に置いてある椅子に座っていた。その横にはクニミツ
が立っていた。
「ああ、みんな来てくれたんだね。」
「皇帝陛下、どういう状況なのですか?」
イヌイがクニハルに今の状況を尋ねるとクニハルは深刻な表情で言った。
「もう5分か10分しないうちにここへくるだろう。」
「なっ!!もうすぐではないですか?!皇帝陛下、皇后陛下今すぐご自分のお部屋へお逃げください!!」
オオイシが悲鳴のような声でクニハルとアヤナに言うと2人は首を振るばかりだった。
「いえ、私くしたちはここにいます。この城の者たちが危ないというのに私くしたちだけ安全なところへ逃げるわけには
まいりません。」
「ですが!!!!」
「皇帝陛下、皇后陛下。」
オオイシが反論したところで第三者の声がした、リョーマだった。
「両陛下。この国の中心の方々が自ら危ない場所におられるなど、そうすればここにいる者たちは自分の身も守りな
がら両陛下も守らなくてはならなくなる。そうすれば、死ぬ確率が高くなるのです。ここで両陛下がお倒れになったり
したらそれこそ敵の思う壺です。それにここにいる者たちが混乱し自滅するかもしれません。ここはお部屋へとお帰り
ください。これは両陛下をお守りする為なのです、おわかりください。」
そう言ってリョーマはクニハルとアヤナの前に行き頭を下げた。
「リョーマ姫、顔を上げてください。あなたにこんなことをさせるためにここに残ると言ったわけではないんだ。わかっ
た、あなたの言う通りにしよう。行こうか、アヤナ。」
「ええ、アナタ。リョーマ姫、あなたもご自分のお部屋へお帰りなさい。」
「いえ、俺はここに残ります。」
「「姫!!」」
リョーマの言葉にクニハルとアヤナはビックリしてリョーマの顔を凝視してしまった。
「俺は自分の身は自分で守ると決めたんです。ですから心配は無用です。」
「いけません!姫!!」
「皇帝陛下!皇后陛下!お急ぎください!!敵がそこまできております!!」
「行くよ、アヤナ。」
「でもっ!アナタ!!」
「リョーマ姫が決めたことだよ。」
「・・・・わかりました。」
「行こう。」
そして護衛の兵士に連れられ2人は広間から自分の部屋へと帰っていった。
その次の瞬間に敵は広間に侵入してきた。

